岡本光博 「2017 イチハナリアートプロジェクト+3」での試み


当初は、以下の「宮城島マシンガン」と「アゲマキ」の2つの出品プランでした。
人間の都合で、「破壊、伐採」という消される運命にある岩と樹について考察する作品でした。



r#268
宮城島マシンガン


QRコードを読み込むと「マシンガン」的掘削音が聞けます。


下見の際、70年前の地上戦で響いていたであろう、マシンガンのような音が四六時中聞こえる。
伊計島漁港から見える「アモジバンタ」と呼ばれる岩山を3年から5年かけて砕き、建築資材として埋め立てなどの用途に使うという。
あまりに壮大な自然破壊を目の当たりにし、石垣克子さんと相談し、伊計島共同スーパーの2枚のシャッターでコラボレーションすることを決める。
石垣克子さんは伊計島漁港から見える岩山を描き出し(タイトル「漁港からの眺め アモジバンタ」)」、
私はその岩山に向かって、沖縄戦で使用されたマシンガン“ブローニー”をぶっ放すミッキーをスプレーで描き、
銃口部分にQRコードを配置し、ウェブを通して、録音した掘削機の音が聞けるように構想。

しかし伊計島自治会会長から「戦争を思い起こさせる」という理由で、銃を描くことを禁止される(ミッキーはいいらしいw)。



8月に撮影した掘削機(左)、伊計島の漁港から見た砕かれる岩山(右)








ST#419 アゲマキ / agemaki for IKEI-jima
2017
虎ロープ


右側

石垣克子
「ある夏の日に ガジュマルトンネル」
2017


伊計島の島民の憩いの場である「ガジュマルトンネル」(岡本の造語)。
ソーランカー(井戸)のある道路の両端からガジュマルが自生し、珍しくも、アーチ状になることで木陰が生まれ、ベンチが置かれている。
下見の際、イチハナリアートのスタッフから、そのガジュマルが伐られる運命であることを聞く。
島のノロの協力を得て、私の虎ロープで造形した「agemaki」に想いを託し、「ガジュマルトンネル」に飾り付けることを計画する。
ノロから「大安の満潮時に、それを持って、ヌンドゥンチにお願いにいきなさい」という教えを頂く。
偶然にも、ノロに会えた伊計島滞在最終日の夜に、その条件が整い、参拝祈願する(2017年11月9日22:33)。

残念ながら、イチハナリアートの出品作品として、ガジュマルへの展示許可は得られなかったが、
石垣克子さんの協力で、彼女のそれを描いた「ある夏の日に ガジュマルトンネル」の隣に飾らせていただけることになった。
石垣さんによって、吊るす部分にはガジュマルから落ちた枝を使用し、ガジュマルがある方向に向けて展示して頂いた。

* 当初は非公式の展示であったが、「落米のおそれあり」の封印を受けて、これが本展で見られる唯一の私の作品になってしまい、
  観光協会の配慮で、正式にこれを出品作品として扱ってもらうことになった。

* また本作品は会期終了後も、伊計島在住の信頼できるイチハナリアートスタッフに預かって頂き、
  可能な限り伊計島でガジュマルとともに存在することを願う。





(上右)ノロの教示を受けて、暗闇の中、深夜のヌンドゥンチに参拝祈願に行く。
   神聖な空気の中、スピリチュアルな経験をさせて頂いた。
(下左右)「ガジュマルトンネル」







NS#327 MIYAGIjima Yellow flies


「宮城島マシンガン」の制作許可が下りないこと、騒音に対する島民の抗議で、
多数のショベルカーを使って地道に削る方針(それでも“マシンガン”の音はしていたが)になり、
岩山には多数の黄色いショベルカーが張り付いているという現状報告を受けて、
「ミッキーマウスが運転するショベルカー」の磁石ステッカー複数枚を
石垣克子さんの「漁港からの眺め アモジバンタ」のシャッター絵画に配置することを決め、石垣さんもOKしてくれた。
アモジバンタがすべて砕かれた時、私の「MIYAGIjima Yellow flies」も撤収し、
彼女の絵画だけがアモジバンタの記憶を留めるという構想。

しかし、このステッカーもまた、うるま市経済部部長の「島民感情を害する」という
一判断だけで、展覧会会期前に強制撤去される。
この件は問題にはなっていないが、一方的な排除には強く抗議する。
こういう態度が常態化しているのだろうか・・・。

*その後、石垣克子さん、ディレクター秋友さんらによって再配置して頂いたが・・・・。









NS#326 落米のおそれあり


 北朝鮮情勢の影響もあり、伊計島の上空には、度々、戦闘機を目にし(耳にも凄いが)、
しかも巨大な石油タンクが近くの島にあるというのに、近年、連続して米軍ヘリの墜落事故が起きている。
この作品のイメージは、2004〜2006年の沖縄での暮らしを通して制作したものであるが、
“再制作”という意識ではなく、今も“リアル”に「警告看板」としての必要性を感じ、絵画として制作したものである。

*うるま市の判断で、展覧会会期前にべニア板で封印される。


*ちなみに、スーパーの左側は神木(最近、突然倒れた)やヌンドゥンチにつながる【神様の通り道】。


うるま市によってべニア板で封印された。
非公開そのものを容認してはいないが、伊計島自治会長がペンキで塗りつぶす希望を出していることを知り、
主催のうるま市観光物産協会に作品を守るようにお願いし、協会からうるま市に作品を傷つけないようにべニア板で
覆うことを提案して頂いた。

最後まで公開に向けて動いていただいた秋友ディレクターら、多くの方たちのおかげで、
作品は、うるま市観光物産協会に移設され、12月2日〜3日の2日間の公開となった。
2日間ではあったが、作品を発表できたことを素直に嬉しく思う。





封印の経緯について

11月20日に、秋友ディレクターが、参加アーティストに向けて送ったメールの抜粋

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岡本光博さんの作品「落米のおそれあり」非公開にあたって

(非公開に至る経緯について)

@選考から制作完了まで
9月11日に皆様と同じく、ご応募いただいたアーティストの中から、岡本さんのプランを採択させていただきました。
また、展示場所に関しては伊計島を念頭に、制作する作品を決定してゆく過程で、一部報道にもありましたとおり
当初のプランから変更が生じることとなりました。具体的には今回のルートガイド(入場料と引き換えにもらえるパ
ンフレット)の3ページに掲載されているミッキーマウスがマシンガンを放っているイメージをスプレーでシャッターに
描くという作品が、共同スーパーの所有者である伊計島自治会からNGがでました。このシャッターに関しては、とな
りの石垣克子さんが描く伊計漁港から見える宮城島の風景(削られている岩山)に向かって、ミッキーマウスが撃つ
という想定で、いわばコラボレーションとして一対をなすというものでもありました。
制作・展示場所への許可については、事務局である(一社)うるま市観光物産協会が交渉しています。というのも、
場所の使用料の支払いや諸々の事務手続きを伴うので、他の場所についても事務局から依頼しております。
私はミッキー案がNGになった段階で、直接自治会長に理解を求めたのですが、残念ながらプラン変更せざるをえませんでした。

その後「落米のおそれあり」が制作に向けて進んでゆくのですが、私は自治会の了承が得られているものとして、
岡本さんが現地入りして11月8日から10日まで3日間で他の作品と合わせて現地制作された現場にも、限られた
時間でしたが立会いました。私が「了承を得られたものとして」として認識していたのは、「落米、、」のプランが応募時に
作品候補として存在しており、岡本さんからも事務局へ代替え案としてイメージ画像が渡っていました。また、11月8日の
16時から「第2回検討委員会」という、イチハナリに関係する各自治会長さんらと事務局、市担当者との会に参加し、
終了後、伊計島の現場を訪ねた時には、制作に必要な足場が組まれていました。
10日夕方に完成し、岡本さんが帰られた後の13日には事務局主催のメディアと島民に向けた「バスツアー」が催され、
14時から約2時間の工程で伊計島にも行き、「落米、、」についてもマスコミ、市担当者、参加者へ向けて
私が作品解説をして終了しました。

A非公開までの経緯
11月14日の昼前に事務局スタッフから電話があり、伊計自治会長が「落米、、」を消して欲しいと言っているので
時間が取れないか、という内容でした。私は他用があり14時以降であれば対応出来ると返事し、事態が事態なので、
事務局の責任者をとおして話しをして欲しいと伝えました。昼頃になって事務局長から電話があり、隣りに自治会長が
居るので話して欲しいとのことで代わりました。「落米、、」が政治的であり、島になじまないので消したいということでした。
私は既に完成された作品でありプレビューも終わり、ディレクターとして到底受け入れられる申し出ではないと、
話しは平行線のまま電話を終えました。13時過ぎに再度、事務局長から電話があり、出来ればすぐに市役所まで
来て欲しいとのことで、役所に向かいました。
到着すると、市の商工観光課課長、係長、担当者と、事務局側の事務局長、担当者、スタッフの6名が待っていました。
殆ど係長が一方的に話しを進めるかたちで、「落米、、」を消すという前提で話しがはじまりました。
理由は概ね2点でした。
・ 「一括交付金を財源とした事業に政治的な内容の作品は適当では無い」というものです。国の監査が入ったら引っかかる。
伊計島はアートの聖地にしたいが、基地反対運動家の聖地になって欲しくない。等等。
・ 「自治会の了解、協力無しでは事業が成立しない」
イチハナリ立ち上げ時から自治会との協力と関係性を築いてきた。今後も継続する上で自治会長の申し出を受け入れる。等等。
私は以上の話しを受け、市としての最終決定ということかの確認と、勝手に作品に手を入れる(塗り消す、覆い隠す等)のは
著作権の侵害にあたる。アーティストから訴えがあれば対応しないといけない。私はディレクターとしてこの件を受け入れることはしない。
場合によっては辞任するという話しで終わりました。
市職員との話しの後、役所のロビーで事務局と話しをしました。もしも消すというなら市にやらせないと事務局(観光物産協会)
に責任が移るから手を付けない方が良いと話しその場は解散しました。

15日の夕方に岡本さんがフェイスブックに投稿され、朝日新聞からその夜に電話取材があり
、16日には朝から朝日新聞とタイムスが現場と関係者への取材が入り、会期前日の17日の昼にはベニヤで覆い隠されて、
18日から会期がはじまりました。

(会期がはじまり今後)
17日のアサヒデジタルの記事に「今後も地元の意向に沿う形で、関係者間で対応を協議するという。」という記事があり、
取材記者に「市はディレクターである私も関係者に含むということか」と確認したところ、「当然含まれる」と課長が回答したようです。
残念ながら未だ私には何の連絡もありません。
昨日(19日)、池味自治会のカジマヤーの撮影(池味で今日から展示するの比嘉豊光さん)に立会ったところ、
バスツアーに参加していた琉球新報の記者も取材をしていました。14日に役所で市担当者との話しの終わり際に、
係長がバスツアーに参加したメディアに「落米、、」の画像と記事を削除してもらうよう、部下に指示していたのが聞こえたので、
新報の記者に問いただしました。記者は事務局からその旨の連絡を受け、そのように計らったそうです。
新報はメディアパートナーであり、事務局から広告費が支払われており、17日の「落米、、」に関する記事には私への取材も無く、
マスコミとしての姿勢を疑うと抗議しました。

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