2003年6月21日ナノグラフィカ(長野市)におきましてワークショップ「ソフラン」を開催しました。
▼「念」を送りアート表現
山崎陽子記者( 2003年7月12日 長野市民新聞より )
人間の空中浮遊・実験・
西之門町の文化的複合スペース「ナノグラフィカ」で6月21日、とある・実験・があった。「ソフラン」と銘打ち、9人の「念」で、一人の人間を空中に浮遊させようとの試み。何の知識も経験もない普通の人に、そんな超常現象をもたらすことができるの?わき起る好奇心を抑え切れず、メンバーに加わった。
「ソフラン」とは、洗濯に使う柔軟剤にあやかって、フワフワ浮いているようなイメージ。京都出身の美術家、岡本光博さん(35)独自の発想だ。「現代科学では解明できない現象を、アートの枠組みで引き起したい」との動機からで、目には見えない「念」を表現した現代美術の・作品・というわけ。
「9」の数字はエネルギーが集まる条件だそうで、実験を始めて9分後と90分後は、一番浮遊の可能性が高い時間帯とあって、話をすることはもちろん、トイレに行くのも禁止。大人用のオムツが配られたときは「みんな本気で成功させようとしているのだ」と感じた。
「まずは9センチ浮くように念じてください」
小学生2人を含めた私たち9人は、被験者の男性に向かって利き手を伸ばした。浮いている様子を想像してみるものの、車の音や人の声で集中できない。「回りから見れば何かの新興宗教みたいに見えるかな」。雑念が次々と浮かんでくる。
しかし、1時間以上たったころだろうか。外の雑踏から取り残されたみたいに、心の中が静かになってきた。何の変化もなかった男性が苦しそうに、後ろに体が引っ張られるように揺れて、座禅を組んだ手足が浮きそうに見えた。
ほかの8人もその変化に気付いたのか、言葉も交わさないのに懸命に気を送っている。「これは本当に浮くかもしれない...」
約4時間の長丁場の末、残念ながら浮遊はしなかった。体はくたくただったが、自分の精神世界に挑戦したような充実感は、あった。
「本来人間が備えている力を参加者が感じ、信じてみる場をつくりたかった」という岡本さん。「一見危ないワークショップ(自由な討論と作業)を受け入れてくれる場所もチャンスも無かった」ので、今回まずは実験できたことの喜びと、今後の成功に向けて手応えを感じたーというのだ。
「気」という実態のないものを、アートとして表現しょうという手法から、現代美術の可能性に思いをはせた一日だった。
9人の「念」で、一人の人間を空中に浮遊させる試み。
This is a experiment that nine participants try to have the same sense of purpose to make a human levitate.
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