岡本光博 ワークショップ 2002
ドイツの味
2002年5月3日に金沢市民芸術村におきましてワークショップ「ドイツの味」を開催しました。


 当ワークショップは私が「マズイと感じた食品」を、参加者が目を閉じて試食し、そのイメージを絵画で表現するというものです。滋賀大学時代の橘先生の授業内容を私なりに変更したものです。

 ドイツでの食生活において、「食文化の違い」を大きく感じる事があります。玉子酒(日本とは全く違う超甘くてドロドロ)、血肉ソーセージや甘草の飴など、慣れるまでは正直キツイものが多く、「日本人としての味覚が変」なのか「個人としての私の味覚が変」なのか、食文化について考えさせられることとなりました。今回はその個人的な食の異文化体験を題材に味覚から絵画表現を行なうというものです。ちなみに用意した色ペンを用いて、A4ほどの大きさの紙に描くという条件以外に絵画表現への制限はありません。

 参加者には「ドイツ」というイメージ、「まずい」というイメージ、そして食材の提供者でもあり、当ワークショップの講師でもある「私」のイメージ(隣の作品展示会場には、暗闇の中に等身大のお坊さんが3体吊られている)だけが先入観として与えられています。

 それらの先入観は見事に参加者(小学生ぐらいの年齢が多い)の恐怖心を煽ったようで、目を閉じさせ口に食材を入れようとする際に完全にビビッている空気が伝わってきました。

 1つの味に対して10分ほどの時間しか与えませんでしたが(6セット行なった)、それぞれが自分だけが感じたことを表せばいいという事が、絵画的な小難しさをとぱっらったようで、のびのびとした豊かな色彩表現が成されていました。

 このワークショップを通して、それぞれの参加者が気楽に感情を表す手段として、絵画を身近に感じるようになってもらえれば幸いです。

 可笑しかったのは血肉ソーセージの時に、独特の血なまぐささを感じたのか、赤や黒色を使ってでどくろを描く子供たちが数人いたことです。