w#287
正の銅貨 
positive copper coins
2023
雑誌「美術手帖 1972年11月号」、銅フィラメント、レーザーカットしたアクリル板
Magazine "Bijutsu Techo Nov 1972", copper filament, laser-cut acrylic plate
ed.10

1973年11月号の「美術手帖」の表紙には、村岡三郎がポケットの中で2枚の10円玉を擦り続けて凸凹をなくした作品「負の銅貨」が使われた。
赤瀬川原平が「千円札裁判」で有罪になってから3年後であることを考えると、
当時編集長だった福住治夫と村岡三郎によるとても刺激的な挑発だったと思う。
村岡研究室に在籍していた私にとっては“伝説の作品”でもあった。
村岡三郎没後10年目にあたる2023年、消された10円玉のデザイン部分が“復元を超え”、表紙を突き破り、
10cmの高さまで飛び出す銅作品を制作した。3Dプリンターを使用し、銅素材で出力した「正の銅貨」である。
村岡三郎のアナログな行為に対するデジタル。さらに言えば、武器も硬貨も個人で複製できてしまう時代を映し出せれば幸いである。
デジタル。さらに言えば、武器も硬貨も個人で複製できてしまう時代を映し出せれば幸いである。







w#288
日本の虹(この七つのいろ)
Japanese rainbow (These seven colors)
2023
高松次郎作品集「Words and Things」、クリアフィラメント、LED
Jiro Takamatsu anthology 'Words and Things', clear filament, LED
205×255×142mm
ed.7


高松次郎の「日本語の文字(この七つの文字)」のカバー作品。
虹を“七色”と捉えるのは日本だけである。
“この七つの文字”という言葉を“この七つのいろ”に変更し、
高松次郎のカタログ表紙より、その7文字を虹のようなカーブを描いて飛び出させる。
そして、それぞれの文字の根本では、日本式の虹の色が発光する。